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猫に餌を与える女(ひと)

11月初めになると思い出す事がある。
学生時代。図書館へ向かう階段にいつの間にか猫が住み着いていた。
休み時間になると猫好きの主に女子学生達が数人でその猫をかまってあげていた。
猫は人懐っこく、彼女たちと遊んでいた。

マスターの通っていた大学は当時学園祭が中止されており、
11月始めの一週間は「秋休み」として講義はなかった。
マスターは所用でその人影のないキャンパスに出向いた。

図書館の近くにくると女性が一人、いや一匹の猫と共に佇んでいた。
さらに近づくと驚いた。
マスターの所属する英会話サークルの女子だった。
「あら、マスターさん今日はどうしたの。」
「いや、ちょっと用事があってついでに食事もしようかと。」
「あら、わざわざ食事のために池袋まで来たのオカシイ・・。」
と、彼女は今で言う中谷美紀風の顔をほころばせた。

彼女はおとなしく、サークルの中では目立たなかった。
「そういう貴女は。」
「家庭教師のバイト先が東池袋にあってここまで来たの。
それにこの猫ちゃんにも食事をさせないとね。」と
傍らにいる猫に目をやった。
猫は食事を済ませた直後らしい。
「貴女の食事は?」
「これからよ。」
「じゃあ、一緒に。」
彼女は一瞬うつむいたが小声で「そうね。」と頷いた。

大学近くの店は休んでおり、結局(というか)駅近くの店で昼食をとった。
さすがになにを話したかは忘れた。

彼女はおとなしいせいか、就職はなかなか決まらなかった。
勿論就職先が決まったときは「おめでとう。」を言ったが
どこに就職したのか、今となっては思い出せない。

今は、どこかの中流家庭の主婦として納まっているのだろうか。



図書館


イメージはその図書館と階段です。
うしろの高層ビルは関係ありません。
丹下健三氏の設計だそうです。


行く秋よ猫に乙女の指絡む

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